2014-09-26

秋田新太郎事件-続報(4)


あなたの会社は融資が受けられないと経営が出来なかった、融資を受けることで存続ができていた会社なのではないですか?


いいえ違います。


どう違うのかをきちんと説明できるのであればして下さい。


私の会社は24年9月の融資以降、現在に及ぶ2年もの間、一円の融資も受けておりません。
融資を受けないなら受けないなりのやり方が会社としてありますし、25年1月に融資が止まり、更に会社を乗っ取られた時でさえも、会社は前を向きその状況を打破してきました。
また、25年10月に私が逮捕されてしまってからは、事業そのものに詐欺があったわけではないにも関わらず、どこの取引先からも「詐欺会社」というレッテルを貼られ、非常に厳しい状況でもありました。もちろん、銀行は相手にしてくれるはずもありません。そんな中でも融資金を全額返済し、今もなお全国に販売部隊を拡大させております。
この現状こそが、事業として正当に成り立っていることを証明しています。

Saibansyo

傍聴席の多くの人間は、引き込まれるように話に耳を傾けていた。
2年間、1円も融資は受けていなかった。さらに既に融資金を全額返済しているという事実は、これまであまり知られていなかったのではないか。
秋田は、融資がなくても自分の会社は十分にやっていける力があった、と検察官の質問を切り捨てたのだ。

また、証言の途中、秋田が当時を振り返ったのか、言葉が詰まる場面があった。

Kaisya

思えば、社会に出たばかりの20代の若者が、どう見ても目上の立場にある政治家や、著名人を次々と味方につけ、自らの人脈として利用し、会社を経営していたことは紛れもない事実であり、驚嘆に値する。
このような状況に陥ってさえ、融資金を返済し、逮捕後も事業を存続させ、責任を果たしていることは、既に経営者としての格を物語っているようにさえ見える。

Taiyou

途中どれほどのことがあったのか、部外者には分からないとしても、公判を経て見える秋田氏の人物像は、秋田氏の今後の更なる発展を予感させるには十分であったように思う。
これからは、付き合いをする人間を見極め、奢らず、ひたむきに事業に取り組んで欲しいと願っている。

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2014-12-20

秋田新太郎-判決(1)

これまで追いかけてきた、エステート24ホールディングスのみずほ銀行不正融資事件についての第一審判決が、2014年12月17日大阪地方裁判所新法廷にて行われた。

大法廷は、これまでと同様に、傍聴人で満席となり、注目の一審判決が出るということで緊張が走る中、裁判が始まった。

Hanketsu1

________________

<主文>

被告人秋田新太郎を懲役2年4か月に処する

被告人田中智久を懲役1年10月に処する

以上

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この瞬間、法廷内はざわつく。

実は、関係者の誰もが、これまでの同種の裁判の判例に基づけば、主文に続いて、

「この刑の執行から…」

と、執行猶予を告げる言葉が発せられるものだと考えていたのである。
だが、主文はこれで終わりだった。

これは、今回の事件の特性を考えれば異例中の異例ともいえる判決である。

なぜか。

その理由は、主文に続いた、経緯と判決に至る説明に表れている。

Hanketu2

_________________________

これまでに秋田と田中は合算で25億円ほどあった銀行融資の金額を、
事件後に完済していた。

こと、みずほ銀行の融資について事件化していたものだけを見れば、
融資額1億9000万円に対し、融資金の全額と損害金を含めた
2億4000万円以上を返済していた。

この『被害者不在』の裁判を、どう裁くのかが注目されていた。

判例等における、融資詐欺の事案では、8割ほどの金額の弁済をしておれば
執行猶予付きの判決となる。

Hanketsu3

しかし今回のこの事件は、損害金を含めると、125%以上もの
弁済をしているにも関わらず、異例の実刑判決となったのだ。

なぜか?その理由について裁判官の遠藤氏はこう述べている。

秋田新太郎 判決(2)へ続く

秋田新太郎-判決(2)

判決の理由について、裁判官の遠藤氏はこう述べている。

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今回の不正融資のやり方は、銀行融資の常識を覆しかねない、
常軌を逸脱した行為である。

日本最大の暴力団の幹部からの紹介で始まったこの融資であることもあり、
極めて悪質であると指摘できる。

他方で、本件では融資金について、その全額を利息を含めて被害弁償している。

この事実は、財産犯における本件において十分に考慮すべき事情であり、
被告人の刑責の面でも評価することが必要である。

しかし上記被害弁償の事情から、

”直ちに被告人らに対し刑の執行猶予を付すことが相当とまでいえず”

被告人らに執行猶予を付すかどうかは被告人毎の個別事情を考える必要がある。

そして、個別の事情については、以下のように続けている。

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被告人ごとの個別事情①(秋田被告)

【秋田被告について】

秋田は本件事件の首謀者であり、実行の中心的人物であるといえる。

エステート社は秋田一人株主の会社であり、実際にも秋田のワンマン会社であり、当時から秋田は絶対的な権力者であった。

ワンマン会社の社長である秋田は、業績を伸ばす中で当然に銀行融資に強い関心を抱き、その実現に向け重要となる指示を従業員らに出していた。

このような状況はエステート社に関与したみずほ銀行関係者や、拘留期間中の部下田中智久の供述調書から明らかである。

にもかかわらず秋田は、上記を一切認めることはなく、あたかも自分には会社の代表者としての監督責任はあるが、刑事的責任については何ら関係ないと、反省のかけらも感じられないばかりか、本公判でみずほ銀行及び捜査関係者を罵倒し、金額についても、別に大した金額でもないので関心もなかった、かのような証言をし、徹底して自分以外に責任を押しつけようとした。

このように秋田は本件犯行の首謀者であり、また個人でも常識を大きく外れた接待や、常軌を逸脱した派手な生活を送っていたにもかかわらず、公判廷において自分以外に責任を押し付ける行為は極めて無責任であり、本件犯行に関する自分の責任を理解していないといえ、執行猶予を付する上での消極事情と言わざるお得ない。

秋田のために酌むべき事情については刑期の面で十分に考慮して主文の量刑が相当と判断した。

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秋田新太郎 判決(3)へ続く

Hanketsu4

秋田新太郎-判決(3)

被告人ごとの個別事情②(田中被告)

【田中被告について】

田中は、本件について、被告人秋田の指示があったとはいえ、重要な役割を果たしたことは明らかであり、本件に主体的に関与したことも明らかである。

エステート社における、被告人秋田との立場の違いや、実質的な決定権の違いは、刑期の面で考慮すべきではあるが、被告人田中は本件と同様の融資詐欺事件により、平成24年1月に、懲役3年、5年間執行猶予に処せられているにもかかわらず、その裁判中から、犯行に至る経緯記載の不正な方法を用いた資金調達に関わるようになり、前記判決後も、そのような行為を続け、本件犯行に至っていることを考えると、厳しい非難が妥当し、後述する事情を考慮しても、再度の執行猶予の判断はあり得ない。

ただ、本件被害金額が利子を含め全額弁償されていることは、被告人秋田同様、刑期の面では、かなり考慮すべき事情といえ、また被告人田中は、公判廷に至って、被告人秋田をかばう態度に終始してしまったことは残念であるが、捜査段階では、事実関係を詳細に供述し、事案の解明に協力したことは、一定程度評価すべきである。

以上から、主文の量刑が相当と判断した。

Hanketsu5

秋田新太郎-判決(4)に続く

秋田新太郎-判決(4)

この後、もう一度主文が読み上げられ、公判は終了した。

秋田は翌日に控訴し保釈、田中も保釈が認められた。

公判が終わると、秋田は、傍聴席にいた会社幹部と見られる人間らに顔を向け、『会社たのむぞ』と笑顔で話しかけた。

その際、平静な秋田に対し、声をかけられた会社幹部らの表情は引き攣り、無言で何度もうなずくのが精一杯、といった様子であったことが印象的だった。

それほどに、今回の判決が、彼らの想定を遥かに超えたものであったということなのだろう。

今回の判決の理由を見る限り、そもそも秋田が罪を認め反省の意思を見せさえすれば、従来の判決に従って執行猶予が付いた可能性は否定できない。

とすれば、控訴審においては、秋田が無罪の主張を取り下げ、罪を認めることで、執行猶予の可能性も出てくるだろう。しかし、数度にわたる公判において、無罪を訴え続けてきた秋田の様子を見る限り、そう易々と主張を取り下げるようには思えない。

このまま無罪の主張を貫き懲役を受けるか、はたまた、新たな証拠などによって最後まで戦い、無罪を勝ち取るのか。

後者を選択するのであれば、それは、厳しい戦いになるだろう。

しかし、このまま無罪を主張し続けたとしても、2年後にはかつての堀江氏のように、懲役を受けることになる可能性が高い。

または、二審で罪を認め、執行猶予付き判決を目指すべきか。

幹部に笑顔を向けた秋田の表情からは、最終的にどのような決断を下すのか、うかがい知ることはできなかった。

はたして、今後弁護団の秋田への説得などによって、心境の変化は起こるのか。

最終的な決着までを、引き続き追いかけたいと思う。

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Hanketsu6

2015-08-20

秋田新太郎 控訴審判決⑤

秋田新太郎 控訴審判決④はこちら

最後に裁判官は、秋田氏は事件当時25歳であり、将来性があること、
そして秋田氏を必要とする多数の嘆願書が寄せられたことを述べ、

「事業の中で社会に貢献できる日がくることを期待している」、

と締め括った。
裁判官がこのようなことを言うのは稀である。

Houtei5

思えば、今なお秋田新太郎は20代という若き青年である。

全国紙で酷評され、再起不能になってもおかしくないほど吊し上げられ、
それでもなお、事業を継続させ、発展させようとしている。

もちろんエステート社の行ったことは許されることではない。

しかし20代でこれだけ世間を騒がせ、大きく転倒した青年が、今後どう立ち上がり、
今後どのように経営者として発展してゆくのかを、個人的にはとても興味深く、
これからも注目し続けたいと思っている。

秋田新太郎 控訴審判決④

秋田新太郎 控訴審判決③はこちら

2点目として、「秋田氏に反省が見られない」として一審で結論づけた部分に誤りがあったという点が挙げられている。

秋田氏は裁判中再三、自分が決算書を読めるようにさえなっていれば・・・自分が人に任せなければ・・・田中(智久)にばかりやらせていて代表は自分であるのに田中も巻き込むことになり田中(智久)に 申し訳がない・・・など反省の弁を述べていた。

傍聴していたすべての者が何度も法廷で耳にしたはずだ。

とはいえ、検察官から悪質である旨の指摘を受けると、最初は黙って聞いていた秋田氏も黙っていられなくなったのか、語気を強めて言い返してしまうシーンが多々あった。

私個人の過去の傍聴履歴から言えば、秋田氏の20代半ばという若さを考慮しても、責められれば責められるほど、意見を言いにくくなったとしてもおかしくない。

しかし秋田氏については全く逆で、責められれば責められるほど、その倍程も言い返していたという印象だ。

例を挙げると次のようなやり取りなどが印象的であった。

『こんなおかしな書類が出ています。』

『いえ、そんな書類が出ている事実は全く知りません。指紋検査をしても私の指紋はでません、 やりますか?』

『結果返しているのに事件になる意味がわかりません。結果無価値という言葉を知っていますか?』

『2億円もの金額の融資を受けたのにあなたが直接知らないわけがないですよね?』

Houtei4

『2億円もの?苦笑。2億円というものの価値がみなさんにとってどう感じられるかは全く知りませんが、当時の私にとっての2億円というわずかな金額は、すぐに接待で消える程度のお金でしたし、全く無関心でした。それぞれの感覚を押し付けられても』

『銀行というのは融資の判断をすることが仕事であり、間違えた内容で融資をしたということは、銀行側の仕事の怠慢であり、そもそも銀行側の罪であり、こちら側がそこまで関知すべきことではないと思っていた』


このような問答を経て、一審の裁判官は、反省していない、自らの責任を理解していない、と評価した。

しかし私から見れば当時の秋田氏には実際にそうだったのであろうし、至って率直に話をしているな、という印象を持っていた。

今回、高等裁判所の裁判官も同じような印象を受けたのではないだろうか。

裁判官は、秋田氏は何度も、「自分が悪い、田中(智久)にも銀行の担当者にも頼らず、自分がちゃんとしていればこんなことにはならなかった、田中(智久)に対しても申し訳ない」、と何度も発言しており、確かに途中ニュアンスのわかりづらい点はあるが、“秋田氏に反省のかけらもない”と、結論付けるのはあまりにも酷な判断である、と論述した。

秋田氏は反省しており、このことがプラスに働くことがあってもマイナスに働くことはない、と、一審の判決を破棄した。

秋田新太郎 控訴審判決⑤へ

秋田新太郎 控訴審判決③

秋田新太郎 控訴審判決②はこちら

そして、二審判決では、一審破棄になった理由として、次の3つを取り上げている。

一つ目は、今回の2億円融資における、の秋田氏の関与証拠が薄いということ。


一審では、裁判所も検察側も、事件になっていない以前の融資に対する秋田氏の関与を
取り上げ、「だから今回の融資も秋田氏は関わっているのだ」と、やや強引な理論展開をしていた。

それまで、みずほ銀行からの融資は全部で6回実行されており、総額は10億程度になる。
そして、そのすべては約定通りの返済が実行されていた。

高裁の裁判官はこの点を取り上げ、

「これは実質今回の融資とは文脈上関係性がいえるという程度のことであって、
これが今回の事件と直接かかわることではない。

一審の判決は今回の事件の内容よりもむしろ、一回目から5回目までの融資で秋田氏が
関わっていたことばかりを述べており、これは文脈上という範囲を大きく超えており、
起訴されている事実と関係のない事実で今回の事件を合わせて処罰しようとしていると
認められる。

これは明らかな法令違反であり、一審判決が誤っていたと認めざるをえない」、

と、論述した。

2つ目には「秋田氏に反省が見られない」と一審で結論づけた部分に誤りがあったという点が
挙げられている。

秋田新太郎 控訴審判決④へ

秋田新太郎 控訴審判決②

秋田新太郎 控訴審判決①はこちら

今回の控訴では、控訴審の命とも言える控訴趣意書の枚数は100枚を超え、内容は一審の判決を法令違反であるとするなど、正面から一審判決をぶった切るものであった。

さらに、

「そもそも今回の融資事件は銀行自体が普通に審査をすればすぐに粉飾内容に気が付く内容の融資であった。」

とされている。

確かに一審判決では銀行側の落ち度については一切認められていなかったが、みずほ銀行はエステート社からキャバクラ等での接待を受けており、審査自体はいわゆるズブズブの状態であった。これは、共犯とされる田中智久氏の公判の中でも明らかになったことである。

Houtei3

今回のような場合、振り込め詐欺事案や、社債詐欺事案、出会い系詐欺事案のような実質詐欺事案とは性質が異なり、事件化するようなことは珍しい。今回も、会社が継続し、返済が十分に可能な状態であったことからも、事件として表面化しなかった可能性もある。

ところが、秋田氏については、以前にも書いたように、付き合う相手が悪い方面で有名であったり、高級外車を乗り回し、家賃が高いことで知られる六本木ヒルズに住居を構えるなど、素行の面で目立つことが多かった。
それらの要素が重なり、この事件自体が、堀江氏のようないわゆる見せしめ的な要素を含んでいたといえよう。

秋田新太郎 控訴審判決③へ

秋田新太郎 控訴審判決①

2015年7月30日、秋田新太郎氏の控訴審判決が下された。

控訴審判決は通常5分程度、長くても30分程度で終わるものであるが、
今回の秋田氏の判決は、異例の1時間半にも及ぶ長時間に設定されていた。

一般的に、一審判決で下された判決が二審判決で覆ることはほとんどないために、
この長時間の判決時間は、「ひょっとしたら一審の判決に待ったがかかるのでは?」
との憶測を呼び、従前からマスコミ各社の注目を集めていた。

皆が固唾を飲んで見守るなか、裁判は静かに始まった。

「主文、原判決(一審判決)を破棄する。」


Houtei1


この瞬間、法廷にどよめきがおきた。

なんと一審の実刑判決が取り消されたのである。

さらに裁判官は、

「一審の判決には法令違反があったと言わざるをえない。」

と、続けた。

『一審の判決に法令違反があった。』

なんと、裁判所が地方裁判所での判決に法律違反があったと認めたのである。
このようなことは裁判をよく傍聴する立場である我々であっても聞いたことがない。

やった、と言わんばかりに顔を見合わせる秋田氏の弁護団。

話がそれるが、この弁護団の顔ぶれもそうそうたるものであった。

一審の主任弁護人は、かつて山口組六代目の主任弁護人も務め、
刑事事件の重鎮とされる浦功弁護士。二審でも引き続き浦弁護士が務めることが
予想されたが、実際には、刑事弁護のプロとして著名な後藤貞人弁護士が主任弁護人を
務めることとなった。

後藤弁護士を筆頭に、大阪最大の弁護士事務所、大江橋法律事務所の福森弁護士、
現役検察官の富士崎弁護士(いわゆる辞め検弁護士ではなく、現役の検察官である)らが
弁護団に加わっている。

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